*第一章* 第一怪「迷〜消えたはずの村〜」
「皆神村」たしかそんな名前だった。「地図から消えた村」そんな風にも呼ばれてたな。
この草木の生い茂った森の中にその村がある。そして、一度足を踏み入れたものは決してそ
の村から出ることはできないという………とか言われてもなぁ…地図にない村なんて今時あ
るわけ無いじゃない。DASH村じゃあるまいし…。そんなことを言いながら俺は渋々オカルト
研究部の奴等といっしょに何年か前。どっかの調査員が神隠しにあったと言われる森に来て
いた。
俺はオカ研のゆうれい部員の「紅乃 宗平」俺の他には部長の「神崎 茜」部員は「篠原
雪枝」「中島 雄也」「長谷川 瞳」「中川 隆太」「野田 健二」の六人だった。実はや
る気まんまんなのは茜だけだった。なぜなら他の部員は全員半ば強制されたようなものだっ
たからだ。みんな一番楽で行っても行かなくてもいい部活だと思ってたら、こんなめんどう
なことに巻き込まれたのだ。やっぱちゃんとした部活選んどいた方がよかったなぁ…と、俺
は今ごろになって後悔した。どうせ骨折り損のくたびれ儲けだっつーのに。俺はこのあと今
よりさらに後悔することになるなんて思ってもいなかった。
「さぁ、行くわよぉ」
相変わらず茜だけはやる気まんまんだ。みんなそろってため息をついた。
…と、そのときだ。俺達の目の前を一匹の紅い蝶がすぅっと飛んでいった。
「なにあれ。キレェ〜」
と雪枝と瞳はその蝶に見とれていた。
「これよこれぇ!!!」
といきなり茜が声を張り上げた。「この紅い蝶こそが皆神村への案内役なのよぉ〜!!!」そ
ういって茜は一人で走っていく。俺達はおいおいマジかよという感じで後に続いた。
しばらく行ったところで茜が止まっている。
「いたたた…んもぅ!!!なによこの石は!!!」
と横にある大きめの石に怒鳴っていた。どうやらこの石につまずいたようだ。よく見ると、
ただの石ではなく何か道祖神のようなものだった。ま、実際は道祖神でなく死神だったのかも
しれない。
「さて、部長もあの紅い蝶を見失ったことだし帰りますか」
そう言って雄也が帰ろうとしたときだった。
「おいまてよ。帰り道そっちだったか?」
と隆太が聞いた。
「あれ?こっちじゃなかったっけ?」
たしかに、俺もどっちから来たのかが、何故か思い出せない。方位磁針をみてもまるで俺達
をばかにするようにクルクルとまわるだけだった。俺達は完全に森に迷ってしまった。それに、
昼頃にここに着いたはずなのに、辺りはどんどん闇に包まれていく。時計はすべて止まってい
る携帯電話も当たり前のように圏外だ。
「おい、もしかして俺達…」
「ねえ、早く帰ろうよぉ」
瞳に言われてみんなで多数決をとり、来たと思われる道を戻り始めた。 どのくらい歩いた
のだろうか…ふと遠くの方にかすかだが明かりが見えた。
「あそこ、なんかあるみたいだぜ」
雄也が誰と無くつぶやいた。みんな長い間歩き続けて疲れていたのでそこで休もうというこ
とになった。そこには大きな鳥居があり、広場の様なところにかがり火がいくつかあった。広
場の真ん中には何か大きな岩がいくつかある。と鳥居の前で茜が止まった。
「どうしたん?はよ行こうよ」
雪枝が急かすと
「だって、この鳥居越えたらもう戻れないかもしれないのよ?」
茜は真剣な顔つきでそういったが、そのときはみんな心身共に疲労がたまっており、茜の言
葉には耳を傾けようともしなかった。今思えばあのとき茜の話をもっとよく聞いておけばよか
ったと思う。そんな雰囲気で、茜は一人で鳥居の前に立っているわけにもいかず、渋々中に入
った。
「これからどうするよ…」
健二がつぶやいた。
「それもこれも、みんなあんたのせいだ!この森で迷ったのもこの森から出られないのも、み
んなみんな全て全部あんたのせいなんだ!」
と雄也がどこかの何とかファンタジーで聞いた様なせりふを部長に言った。
「…」
部長も言い返せるはずもなく黙り込んだ。
他のみんなも黙り込んだので辺りを恐ろしいほどの静寂に包まれた。その静寂をやぶったのは
隆太だった。
「雄也さぁ、今はさ、そんなことよりこっから帰ること考えようぜ。んで、そのあとで部長を
殴るなり訴えるなりすればいいじゃねぇか」
「でも…っ…」
「家に帰りたい…」
そう言って瞳が泣き始めた。俺は、そんなみんなを見て「人間ってのはなんだかなぁ…」と
以外にのんきに考えていた。俺は別に家に帰りたくもなかったし、帰ってもつまらないだけだ
と思っていた。
「ねぇ、あれって家じゃない?」
ふいに雪枝がそう言って立ち上がった。確かに家が何軒か建っている。
「おりてみようぜ。もしかしたら誰かいるかもしれないしさ」
健二がそう言ったのでみんなゆっくりと立ち上がった。そして村の方に降りていった。
Copyright (C) 闇薙帝夜(やみなぎ ていや) 2003