序章〜誘い〜
(・・・暗い・・・)
(・・・ここ、どこだろ・・・)
いつの間にこんなところへ来たのだろう。たしかさっきまで自分の部屋で明日からの旅行の準備をして
そのまま布団に入ったはずだが・・・
(夢かな・・・)
私は辺りを見回してみる。
(トンネル?・・・にしては壁がごつごつだし・・・)
私は細いトンネルのような所に立っていた。
壁は岩がせり出していて、人が作った、というよりは自然にできた空洞のようなものだった。
(・・・どっちに行けばいいんだろ・・・)
道は私の前と後ろに延びていた。どうやら一本道のようである。しかも、まっすぐに延びていて奥のほ
うは暗闇でまったく見えない。
(こっちかな・・・とにかく歩いてみようかな・・・)
私は、自分が向いているほうへ歩き出した。
だが、しばらくしてなにかがおかしいことに気がついた。
(・・・あれ?私さっきからずっと歩いてるのに、自分の足音・・・聞いてない・・・)
一度立ち止まり、今度は神経を耳に集中させながら、ゆっくりと歩き始めた。
・・・・・・・
(・・・あれ?やっぱり音が鳴らない・・・なんでだろ・・・)
もう一度立ち止まり、また歩き出す。
(・・・やっぱり聞こえない・・・)
(なんだか幽霊にでもなったみたい・・・)
私はこれ以上気にしても仕方ないと思い、先に進むことにした。
・・・・・・・・・・・・・・・・
もう30分くらいは歩いただろうか。
一向に変化が現れない。
(なんか・・・疲れたような気がする・・・)
(・・・これ・・・ほんとに夢だよね?)
そろそろ一休みでもしようか、と思ったとき、突然道の遥か向こう(のように感じた)から突然声が聞こ
えた。
私は少し考え、声のするほうへ耳を傾けた。
・・・・・・
(声・・・・・・歌?なんで歌が?・・・子供の声かなぁ・・・)
危険はないと判断して、私は声のするほうへ歩き出した。
・・・・・・・・・
歩き出してしばらくすると、奥のほうに岩が見えた。
近くに来ると、ここで行き止まりになっているのがわかった。
岩の周りに隙間はない。どうやら落盤でふさがったわけではなく、もとから道はここまでのようだった
(・・・ここまで来て行き止まりなわけ?・・・・でも・・・)
歌はまだ聞こえている。
・・・・・・岩の向こうから・・・
(私にどうしろっていうの??この壁をすり抜けろとでも言いたいの??)
『・・・おいで・・・・・・』
(!!何?!今声が!頭の中で声が聞こえた?!)
『・・・なかま・・・』
(・・・誘ってるの?でもこの壁は?いくらなんでも壁はすり抜けられないよ・・・)
私がどうやって向こうに行こうかと悩んでいると・・・
(??)
突然、岩壁から一本の手が出てきて私の腕を強く握り締めた。
そして、その手は強く私を引っ張り私を岩壁に引き込もうとしている。
(え?!何?!手?!うそ!!)
なにがなんだかわからず混乱しつつも私は力の限り抵抗した。
このままでは引き込まれる!(てか岩にめり込む!!)
だが手はさらに力を加え、私はずるずると引きずられていった。
(だ、だめかも!この手、強すぎるよぉ〜!)
その時、手は一気に力を込めさらに引っ張った。
私の足は地面から離れ、体はものすごい速さで岩壁に突進していた。
(ぶつかる!!!)
そう思って覚悟した瞬間。
(!!!まぶしい!!)
岩壁にぶつかる直前、あたり一面は光に包まれなにも見えなくなった。
そして、私の意識は次第に薄れていった・・・・・・
Copyright (C) 闇薙帝夜(やみなぎ ていや) 2003